藤沢かわせみ法律事務所です。
今回は、「遺言能力」について、ご説明をさせていただきます。
遺言書が存在する相続のご相談の中で、「当時、遺言者に判断能力があったと思えない。だから、この遺言書は無効ではないか?」といった内容のご相談を受けることがあります。
遺言を作成するにあたって、意思能力(一定の判断能力)が必要とされます。そのため、遺言能力を欠く状態で作成された遺言は無効ということになります。裁判で解決する場合には、遺言無効確認訴訟を提起することになります。
遺言能力の有無を決める明確な基準はないと思っていますが、過去の裁判例等からすると、作成時の遺言者の状態、遺言作成に至る経緯、遺言内容の複雑さ等の様々な事情が考慮されています。証拠としてよく提出されているのは、長谷川式テストなどの知能検査の結果、病院や施設の診療録等です。
遺言無効確認訴訟に限ったことではありませんが、説得的な証拠をどれだけ多く提出できるか、ということがポイントになろうかと思います。
私個人の経験からすると、公正証書遺言を作成する際、公証人は非常に厳格に遺言能力の有無を確認しているという印象です。一方、公正証書遺言が遺言能力を欠くとして無効とされた裁判例は存在します。そのため、遺言能力の有無については、個別の事情をおうかがいして、資料などを精査した上で、法的アドバイスをさせていただくというかたちになろうかと思います。
ただ、そうは言っても、公証人が遺言能力の有無を確認したという前提のもと、形式的に不備のない遺言が作成されるため、遺言書を作成する場合には、公正証書遺言の作成をおすすめしています。
遺言能力に関してお困りでしたら弁護士松永大希(藤沢かわせみ法律事務所)までご連絡下さい。
電話 0466-52-5637|受付時間は10:00~18:00
メール info@kawasemi-law.com