藤沢の法律事務所の相続コラム26

2020/05/28
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藤沢かわせみ法律事務所です。

 

今回から、2回に分けて、自筆証書遺言の効力についてご説明いたします。

 

「自筆証書遺言によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」(民法968条1項)とされています。

 

遺言の全文・日付・氏名を、カーボン紙を用いて複写の方法で記載された自筆証書遺言の効力が有効とされたことがありました(最高裁平成5年10月19日判決)。これは、カーボン紙を用いた複写の方法が、「自書」と言えるのかどうかが争われました。カーボン紙を用いた複写の方法であっても、本人の筆跡によるものですし、偽造の心配も少ないため、「自書」として有効とされたのだと思います。

ただ、この事例は、最高裁まで争われたようなので、相続発生から判決確定までに、多くの時間が経過しているのだと思います。相続人間のトラブルを防止したいとの思いで遺言書を作成するのであれば、遺言書の効力に疑義が生じないようにしていただきたいと考えております。

 

次に、自筆証書遺言に記載された日付に関して、当該遺言の効力が有効と判断されたケースをご紹介致します。

 

①「平成二千年一月十日」と記載された自筆証書遺言

 

「西暦2000年」あるいは「平成12年」の表示として記載されたものであるとして、遺言の効力が認められました(大阪地裁平成18年8月29日判決)。ただし、この判決は、日付の記載のみに注目したわけでなく、自筆証書遺言が作成された経緯についても詳しい検討がなされています。

 

②昭和48年に作成されたにもかかわらず、「昭和28年」と誤記された自筆証書遺言

 

作成年度の記載が誤記であること、真実の作成日が遺言証書の記載その他から安易に判明する場合には、このような日付の誤りは遺言を無効とするものではないとして、遺言の効力が認められました(最高裁昭和52年11月21日判決)。

この裁判も、日付の記載のみに注目したわけではなく、その他の事情・経緯を考慮しています。

 

次回は、自筆証書遺言等が無効とされたケースをご紹介したいと思います。

 

自筆証書遺言の効力に関してお困りでしたら弁護士松永大希(藤沢かわせみ法律事務所)までご連絡下さい。

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