藤沢の法律事務所の相続コラム37

2020/06/04
ロゴ

藤沢かわせみ法律事務所です。

 

平成25年1月1日から、家事事件手続法が施行されています。そして、家事事件手続法121条において、後見開始の申立て、後見人選任の申立てに関しては、申立てがなされた後にその申立てを取り下げる場合には、家庭裁判所の許可が必要となりました。

家事事件手続法が施行される前は、家庭裁判所の審判がされる前は、申立人の意思により、申立てを取り下げることができました。そのため、家事事件手続法が施行された後に、後見開始の申立てを検討していらっしゃるご相談に対しては、一度、申立てを行うと、その申立てを取り下げるには家庭裁判所の許可が必要であることをご説明しております。

 

たとえば、「自分が成年後見人として選任されるのであれば問題ないが、自分以外の者が成年後見人として選任されるのであれば申立てを取り下げたい。」という場合において、家事事件手続法の施行前は取り下げることができましたが、現在では、そのような理由のみでは取り下げることはできないと思います。もともと、親族間で争いがあるケースにおいて、親族が成年後見人に選任されることは少なかったと思います。そのため、法律の施行前後で違いが生じているとすれば、親族間では争いがなく、特定の親族が後見人に就任することで同意が得られているにもかかわらず、弁護士等の専門職後見人が就任するというケースであると思います。

 

成年後見制度自体が、本人保護を目的とする制度ですので、専門職後見人が就任したとしても本人保護が図れないということはないかと思います。また、本人が成年後見状態であり、保護が必要であるにもかかわらず取り下げを認めるというのでは、本人の保護を図ることができません。

 

ただ、そうは言っても、「みずしらずの第三者に財産を管理させたくはない。」というお気持ちもあろうかと思います。そのため、成年後見の申立てに際しては、親族が成年後見人に選任するかということは家庭裁判所が判断することですので断定はできませんが、少なくとも、「専門職後見人が就任する可能性が高いかどうか。」についてのアドバイスをさせて頂くことは可能であると思っています。