藤沢かわせみ法律事務所です。
本日は、長期休暇と遺産分割協議についてご説明をさせて頂きます。
普段は仕事等で忙しいため、夏休みや年末年始等の長期休暇に親戚で集まり、遺産分割協議を行うということもあるかと思います。
当事者間の遺産分割協議が円満に成立する場合もありますし、かえって、感情的対立が高まってしまうこともあります。当事者間での遺産分割協議における注意点というと大袈裟かもしれませんが、陥りがちな点についてご説明致します。
1 裏付けとなる資料が示されない。
相続財産の一覧表は示されるものの、裏付けとなる資料を示されない場合があります。相続人であれば、銀行の取引履歴や不動産の価格証明を取得することができますので、時間をおけば示された一覧表の内容を確認することができますが、その場で決断することは難しいかと思います。
2 その場で署名捺印して欲しいと頼まれる。
「1」の裏付け資料が示されない場合とも共通する点がありますが、内容をよく確認することが出来ないままに、書類に捺印をして欲しいと言われることがあります。たとえば、遺産分割協議書、金融機関への提出書類、司法書士への委任状等です。これらの書類に署名をして、実印で捺印してしまうと、遺産分割の手続きが進行してしまいますので、注意が必要です。
3 話し合いを仕切る相続人への感情的対立
遺産分割協議は話合いですので、話し合いをリードする役割の人は必要です。ただ、これまでの人間関係から、その相続人が遺産分割協議を仕切ることを良く思わない相続人もいます。このことが原因で、当事者同士の遺産分割協議が成立しなかった場合、仮に代理人が就任したり、家庭裁判所で遺産分割調停が申し立てられても、解決までに時間を要することが多いような気がしています。
4 特別受益や寄与分に関する主張
生前贈与に関して、「自宅を新築する際に援助してもらっていたはずだ。」であるとか、寄与分に関して、「自分の方が世話をしてきたのだから、より多くの相続財産を取得すべきだ。」等の主張がなされることがあります。ただ、これらの主張に関して、相手方の相続人が納得しなかったり、裏付けとなる資料がなかったりする場合には、当事者間で遺産分割協議が成立することは難しい場合があります。
当事者間で遺産分割協議が成立するのであれば良いのですが、長い時間をかけることで、かえって感情的対立が高まってしまうこともあります。「とにかく、相手が望むことは何一つしたくない。」という気持ちになる前に弁護士にご相談して頂ければと思います。