藤沢の法律事務所の相続コラム42

2020/06/09
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藤沢かわせみ法律事務所です。

今回は、具体的なケースのご説明として、「他の相続人から被相続人が作成したと思われるメモを示されたケース」について、ご説明させて頂きます。

 

〔相談内容〕

相続が発生して、他の相続人から、被相続人が遺したとするパソコンで作成したメモを見せられました。他の相続人は、そのメモが被相続人の遺言であると言って、メモに書いてあるとおりに遺産を分配するように求めています。メモの内容を読んだら、自分は、ほとんど相続することができないようです。

何とかなりませんか。

 

〔コメント〕

他の相続人は、そのメモが被相続人の遺言書であると考えているようですが、パソコンで作成されたメモは、自筆証書遺言としての効力がありません。そのため、他に有効な遺言書がない場合には、相続人間で遺産分割協議を行う必要があります。

他の相続人に対しては、メモが自筆証書遺言と認められないことを、法律を前提として明確に説明する必要があります。このような場合には、法律の専門家である弁護士にご依頼いただくほうが良いケースも多いかと思います。

そして、弁護士に依頼した上で、他の相続人との間で話し合いを行う方法として、弁護士が代理人として交渉を行う方法、家庭裁判所へ調停を申し立てる方法が考えられます。ただし、弁護士が特定の相続人の代理人として、他の相続人と直接対峙して、メモが遺言として効力を有しないことを告げることで、かえって、他の相続人の態度を硬化させてしまう可能性もあります。そのため、中立な立場の調停委員が関与する調停のほうが、他の相続人の感情を害することなく調整を図ることができる場合もあります。

このように、弁護士であればお一人お一人に合った解決方法をご提案することが可能です。

また、将来、このようなトラブルを発生させないためにも、遺言書を作成する場合には、弁護士に相談の上、遺言書を作成した方が、より安心できる結果になるのではないかと思います。

なお、自筆証書遺言の「自書」の要件が、法改正により、目録部分に関して緩和されたことは、既にご説明したとおりです。