藤沢の法律事務所の相続コラム44

2020/06/10
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藤沢かわせみ法律事務所です。

今回は、「他の相続人が相続財産を開示しないケース」についてご説明をさせて頂きます。

 

〔相談内容〕

私は、仕事の関係で実家から離れた地域で生活をしていて、普段、親の面倒は実家の近くに住んでいる兄弟が行っていました。先日、親が死亡し、相続が発生しました。兄弟に相続のことを相談したら、「お前は普段、遠くに住んでいて、親の面倒を見てこなかったのだから、俺の言うとおりに相続すればいいんだ。」の一点張りです。親は堅実な性格だったので、借金はないと思いますが、どの程度の相続財産があるのかどうかすら分かりません。たしかに、私は、普段、親の面倒を見ることは出来ませんでしたが、年末年始は必ず帰省していましたし、毎月、親の銀行口座に仕送りを欠かさず行っていました。

何とかなりませんか。

 

〔コメント〕

まずは、遺言の有無を確認してみることが大切です。平成元年以降に作成された公正証書遺言であれば、情報がコンピューターで管理されているので、最寄りの公証役場で公正証書遺言の有無を検索することができます。また、令和2年7月10日から、法務局で自筆証書遺言の保管制度も始まります。

次に、遺言書がない場合には、把握できている情報をもとに、相続財産を調査する必要があります。不動産に関しては、登記を確認したり、固定資産税評価証明書を申請したりする必要があります。預貯金に関しては、定期的に仕送りをしていたということですから、被相続人が口座を開設していた金融機関に取引履歴の照会を行い、取引履歴の内容を精査する必要があります。その他にも、保険契約を締結していたかどうかなどを確認する必要があります。

これらの手続きをお一人で行うことも可能ではありますが、それぞれの手続きの方式が異なっている場合もあり、相続財産の調査自体が煩雑な場合もあります。弁護士は、相続財産の調査に関するアドバイスをさせていただくことだけではなく、手続きをサポートさせていただくことも可能です。

そして、相続財産の概要を把握することができた段階で、遺産分割の解決方法についてご提案させて頂ければ幸いです。