藤沢の法律事務所の相続コラム50

2020/06/16
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藤沢かわせみ法律事務所です。

今回は、「形見分けと相続放棄」についてご説明させて頂きます。

 

故人を偲ぶよすがとなる遺品を分配する形見分けを行うことが、相続を単純承認したとみなされる(法定単純承認)かどうかが争われることがあります。

 

相続人が相続放棄の申述受理の後、被相続人のスーツ、毛皮のコート、靴、絨毯等遺品のほとんどすべてを自宅に持ち帰った行為が、民法921条3号の「相続財産の隠匿」に当たるかどうかについて、東京地裁平成12年3月21日判決は、「同条3号の規定する相続財産の『隠匿』とは、相続人が被相続人の債権者等にとって相続財産の全部又は一部について、その所在を不明にする行為をいうと解されるところ、相続人間で故人を偲ぶよすがとなる遺品を分配するいわゆる形見分けは含まれないものと解すべきである。また、同号に該当するためには、その行為の結果、被相続人の債権者等の利害関係に損害を与える恐れがあることを認識している必要があるが、必ずしも、被相続人の特定の債権者の債権回収を困難にするような意図、目的までも有している必要はないというべきである。」と判断した上で、相続人が財産的価値を有する遺品のほとんど全て持ち帰った行為について、形見分けを超えるものであるとしました。

 

持ち帰った遺品の範囲・量・経済的な価値等からすれば、妥当な結論だとは思いますが、「形見分け」として法定単純承認事由に該当しないかどうかについては、個別に判断する必要があるかと思います。