藤沢の法律事務所の相続コラム61

2020/07/01
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藤沢かわせみ法律事務所です。

今回は、「特別受益を主張する範囲」についてご説明させて頂きます。

 

民法903条1項は、「共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価格にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。」と規定しています。

特別受益に関する規定で、生前贈与等を受けていた場合には、相続人間の実質的公平を図るために、具体的相続分を算定する際に調整が行われることになります。

 

具体的には、「他の相続人は結婚する際に多大な援助を受けていた。」、「他の相続人は大学の学費を払ってもらっていた。」、「他の相続人は自宅を購入する際、被相続人から多額の援助を受けていた。」等の主張です。自宅購入の際に多額の援助を受けていた場合に特別受益に該当することは、あまり争いにならないような気がしています。

 

一方、結婚の際の援助、大学の学費などに関しては、共同相続人が同様の援助を受けている場合には、黙示の持戻免除の意思表示が認められていることが多いと思います。また、大学の学費に関しては、被相続人の資産状況、生活状況等に照らし、通常の扶養義務の支出の範囲内とされることもあります。この辺りに関しては、特別受益の主張を行うか否かを検討する段階でしっかりと確認しておく必要があります。

 

また、特別受益や寄与分の主張は、一方の相続人が主張を行うと、他方の相続人も主張を行ったりするなど、主張の応酬になってしまうことが往々にしてあります。その結果、相続人間の感情的対立が激化してしまい、早期解決が難しくなってしまうこともあります。そのため、主張を裏付ける客観的資料がどの程度準備できているか、ということを特別受益として主張するか否かの範囲を検討する際の1つの材料としています。