藤沢の法律事務所の相続コラム62

2020/07/02
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藤沢かわせみ法律事務所です。

今回は、「法人の遺贈」についてご説明させて頂きます。

 

同族会社の経営者が遺言を作成して相続財産を分配しようとする場合、自社の株のほかに、会社の事業に使用している不動産を所有していることも多いかと思います。そして、会社の資産を増加させるために、自己が所有している不動産を会社に遺贈することを考える方もいらっしゃるかと思います。ただし、このような法人への遺贈に関しては、税務の面で注意が必要です。

 

1 遺贈者に対する課税

個人が遺贈により被相続人から財産を取得した場合には、相続税の課税対象になります。一方、法人に対する贈与や遺贈により資産の移転があった場合には、贈与や遺贈があった時に、その時における価額に相当する金額により、遺産の譲渡があったものとみなされ(所得税法59条)、所得税の課税の対象となります。

この場合、遺贈者にかかる所得税であるため、相続人は、準確定申告をし、所得税を納付しなければなりません。

 

2 法人に対する課税

法人が無償で資産を譲り受けた場合には、各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入することとされていますので(法人税法22条2項)、法人税の課税対象となります。なお、この場合に益金の額に算入すべき金額は、通常の取引価額になります。

 

3 同族株主に対する課税

同族会社に対して無償で財産の提供があったことにより、その同族会社の株式の価額が増加した場合には、その同族会社の株主が増加した部分の金額を、遺贈者から遺贈により取得したものとみなされます(相続税法基本通達9-2)。その結果、相続税の課税対象となります。

 

このように、法人へ遺贈しようとした場合、様々な課税関係が発生することになり、想定していたよりも多くの課税義務が発生する場合もあります。相続発生後の同族会社の経営関係の安定等、相続に伴い考慮すべき事柄は様々あるかと思いますが、法人に対する遺贈は慎重に行う必要があろうかと思います。