藤沢の法律事務所の相続コラム70

2020/07/14
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藤沢かわせみ法律事務所です。

今回は、「遺留分侵害額請求権の行使」についてご説明させて頂きます。

 

遺留分侵害額請求権は、必ずしも裁判手続きによる必要はありません。配達証明付きの内容証明郵便によって権利を行使し、その後、交渉を行い、交渉がまとまらない場合に裁判手続きに移行することが通常です。

 

遺留分侵害額請求権は、あくまでも「権利」であるため、権利を行使しなければ法的効力は発生しません。一方、後日、詳しくご説明する予定ですが、遺留分侵害額請求権には消滅時効があります。そのため、時効完成直前の段階でご相談にいらっしゃった場合には、急いで遺留分侵害額請求権の行使を行う必要があります。

 

「何をどのように遺留分を侵害しているのか。」ということを詳細に記載しておけば、通知を受け取った相手方も、自身で検討したり弁護士等に相談したりして、その後の建設的な話し合いに資するかと思います。ただ、時効完成直前において、詳細に調査する時間がない場合には、抽象的・包括的な文言で遺留分侵害額請求権を行使する旨の通知を送ることになります。

 

また、遺産分割協議の申し入れは、遺留分減殺請求の意思表示を含むのかが問題となることがありますが、裁判実務上は厳格に解釈されています(最高裁平成10年6月11日判決)。そのため、遺産分割協議の申入れを行ったり、遺言の有効性を争ったりする場合には、念のため、遺留分減殺請求権の意思表示を明確に行うこともあります。