藤沢の法律事務所の相続コラム72

2020/07/16
ロゴ

藤沢かわせみ法律事務所です。

今回は、「遺留分額の算定」について、ご説明させて頂きます。なお、今回の説明内容は、2019年7月1日の改正前の内容に関する説明になります。改正後の内容に関しては、改めて、別の機会にご説明をさせて頂く予定です。

 

遺留分額は、「被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して」算定すると規定されています(民法1029条)。

 

ただし、遺留分算定のうえで加算される贈与の範囲は無限定ではなく、贈与契約が相続開始前の1年間になされたものに限定されています(民法1030条前段)。もっとも、贈与契約の当事者双方が、遺留分権利者に損害を与えることを知っていた場合には、相続開始の1年前よりも過去になされたものであっても、遺留分減殺請求の対象になります。

 

「知っていたか、知らなかったか」という主観面の立証は、困難な場合が多く、どれだけたくさんの間接的な事実を積み上げることができるか、ということにかかっていることが多いと思います。たとえば、贈与契約の当事者双方が親族であったりする場合には、知っていたと認定されやすい事情の1つになり得るものと思います。また、特別受益としての贈与は、特段の事情のない限り、その時期を問わず、遺留分算定のうえで加算されることになります(最高裁平静10年3月24日判決)。

 

遺留分の算定においては、その算定が難しい場合もありますので、そのような場合には弁護士にご相談頂くことをお勧め致します。