藤沢の法律事務所の相続コラム84

2020/08/14
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藤沢かわせみ法律事務所です。

今回は、「遺産分割協議のやり直しと税務」についてご説明させて頂きます。

 

先日、遺産分割協議のやり直しの方法に関する記事を掲載いたしました。ただ、注意項目として、民法上の遺産分割協議のやり直しと、税法上の遺産分割協議のやり直しとでは、取り扱いが異なる場合があります。

 

1)相続人全員の合意により遺産分割協議をやり直す場合

  相続人全員の合意により遺産分割協議をやり直す場合には、遺産分割協議のやり直しは、税法上、新たな財産の転移となり、相続財産を取得した者に対して贈与税等が課されることになります。

 

2)遺産分割協議の無効、取消し

  遺産分割協議が錯誤、詐欺等によって、無効であったり、取り消されたりする場合には、更生の請求(国税通則法23条2項)を行うことができます。ただし、任意の交渉段階において、遺産分割協議の無効、取消しが認められ、遺産分割協議をやり直すということは、結局のところ、相続人全員の合意により遺産分割協議をやり直すことと同じです。

  そのため、遺産分割協議の無効、取消しを原因として、税務上、遺産分割協議のやり直しが認められるためには、訴訟や調停において争う必要があるように思われます。